2000/08/24(木)

3点クロスカントリー

朝7時に起床して、荷物をまとめます。Skylineのアパートに本日から空きができたので、本日でホテルをチェックアウトして、アパートに移動することになりました。荷物を車に積み込んで8時頃空港へ。

本日は3点クロスカントリー(正式名は?)として、Ramona → Thermal → Blythe → Ramonaと飛ぶ予定です。さっそくWXをとってみますが、午後から多少積乱雲が出てくるくらいで問題なさそうです(伏線)。

NAV Logを埋めて、1レグ目(Thermalまで)のフライトプランを登録して、プリフライトチェックをして、おっと燃料を満タンにして、さぁ出発です。でもその前にウ○○してと(^^;)。

Ramonaからのtake offはSoft Field Take offを行ってみました。northeast bound departureで飛び立ちます。上空はやっぱり涼しくてとても快適です。エンジンの心地よい振動とともに上昇して行きます。

フライトプランをオープンしようと、San Diego Radioにコンタクトしますが、反応がありません。おかしいなぁ、もう一度。やっぱ反応なし(;_;)。この交信はCOM2でやっているのですが、もしやと思いCOM1で試してみました。そうすると、ちゃんとコンタクトできました。前日この機体(N8422D)に乗った人も言っていましたが、COM2の調子が悪いようです。AWOSを聞くのは問題ないので、送信側がいかれているのかもしれません。

JulianのVORはもうドンピシャで真上を通過します。これはもう物理的な位置を覚えてしまっているので(^^;)、目でも確認しながら飛べるからです。もちろん、ちゃんとラジアルのトラッキングはしていますヨ。

Borrego Valleyを経由して、一山超えればもうThermalです。あ、R/Wが確認できました。UNICOMからの情報によると、風はcalmなので適当に判断して降りろとのこと。南よりの風なので、R/W 17に降りることにします。前回の反省を活かして、今回はちょっと西から大回りして空港をover fieldし、改めてトラフィックパターンに入るというやり方にしてみました。これだと無理なく高度が落とせますし、R/Wの確認も確実です。

前回と同じくR/W 17にShort Field Landingして、最初の出口から出るようにします。そしてtransient parkingへ。

駐機した後、給油をお願いして、フライトプランをTELでクローズし、SkylineにTELで到着を報告し、一休み。いいっすねぇ、飛行機で飛んできて冷たいドリンクでも飲みながら一休みって(^^)。さて、次のレグ(Blytheへ)のフライトプランをTELで登録して、プリフライトチェックをし、もう一休みして出発です。

R/W 17からeast bound departureでtake off! Blytheまではほぼ真東にまーっすぐ飛んでけば良いので楽チンです。しかもコースにほぼ沿ってフリーウェイが走っていますのでどんなに間違ってもロストすることはありません(^^;)。

しかし、ここにきて積乱雲が出来始めています。所々シーリングの低い積雲も点在します。雲に入りそうになったので、高度を落として通過する個所もあります。

Blytheから15nmくらい手前から降下を開始します。あ、R/Wが確認できました。UNICOMからの情報によるとやはり南風なので、R/W 17とのこと。空港をover fieldしてR/W 17に向かいます。ここはタクシーウェイへの出口がR/Wの真中まで行かないと無いので、Soft Field Landingしてみます。これだと、タッチダウンポイントがちょっと先になるので、好都合です。R/W 26-8をクロスしてtransient parkingへ。

事務所で太っちょのおじさんに給油をお願いします。TELにてフライトプランをクローズすると同時に次のレグ(Ramonaへ)のフライトプランを登録しておきます。

SkylineにTELで到着を報告すると、教官曰く「問題が起きました。あれから天候が変わってしまって、RamonaやJulianの辺りでthunderstorm (注)が発生しています。Julianの山は通過できない可能性があります。状況にもよりますが、もし視程やタービュランスがひどい場合は無理をしないでThermalやBorrego Valleyに降りて天候の回復を待って下さい」

(注: こちらでは「積乱雲が出ている」というニュアンスでthunderstormということが多いようです。必ずしも本当に雷を伴う嵐のようなものを指していません。この時は実際に雷鳴がしてポツポツと降水もあったようですが。)

がが~ん!! 天気予報ではそこまでひどくなるとは言っていなかったのですが、気象はミズモノです。

既にお昼を過ぎているので、サンドイッチを食しながら、一応alternateの空港への行き方を確認しておきます。

一抹の不安を抱きつつR/W 17からwest bound departureでtake off。ライトクロスウィンドにターンした時に気が付きましたが、このアップウィンドは大利根と同じく「離陸したらすぐにヘディングを10度ばかし左にずらすべし」だったのに全然しませんでした(^^;)。おもいっきし住宅街の上を通ってしまいました。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

Thermalの方へ戻るようなルートで飛んでいくと、シーリングの低い積雲がちらほら見えます。うーん、どう見てもこのままいくとあの雲に突っ込むなぁ。やっぱちょっとだけ高度を落としてみよう。おぉ、無事通過です。

途中ちょっとした山を通過するんですが、その山の上にも積雲ができているので、タービュランスが予想されます。そこで、その山を通過しないよう、ちょっとだけ迂回するルートに変更しました。おかげで全くタービュランスには遭遇しないで済みました。

Salton Seaを通過し、Julianの方へ向かいます。さぁ問題の場所です。Borrego Valleyの辺りまでは問題ありません。しかしすぐ北側には同じ高度(8500MSL)くらいの積雲や積乱雲が迫ってます。こ、こわー! Julianの山の上も同じ感じです。しかももう完全な灰色をしています。これを通過するのはちょっとやめといた方が良さそうです(ていうか雲に入っちゃうからやっちゃだめ)。

決断の時は迫ります。うーん…お、山の少し南側は明るくて雲がない! よし、そこを通過しよう! というわけで、そちらに迂回して行くことにします。

こうすると単純にJulian VORのラジアルに乗るわけにはいかないので、慎重にチャートを見ながら地形を確認して、時々Julian VORのfromラジアルとDMEで現在位置を確認しながら雲の隙間を飛びます。左右は積乱雲が迫って本当に怪物に襲われている気分です。

雲の隙間といってもやっぱり少し視程が悪くなってきます。まずいなぁ。でもまだ大丈夫。ちゃんとVFRコンディションは保っています。あ、なんとぽつりぽつりと雨が降り出しました! しかも暗ーくなってきます。まじでやばくない? (上がり口調で)

タービュランスが少し出始めましたが、もう山は越えています。ここで降下開始。慎重に現在位置をトレースしながら、Julian VORの本来のラジアルに乗り直します。よっしゃ、これで元通り! 山から離れて降下するにつれて、雲から離れ、タービュランスもおさまり、一安心です。でもまだヘイズが出ています。再びぽつぽつと雨が降っています。でもこれは一時的なもんでしょう。

更に降下すると、視程はいつもより悪いものの雨もおさまり、いつもの光景です。Ramonaの空港も確認できました。よしよし。いつもと同じくover fieldしてMt. Woodsonに向かいR/W 27に着陸です。

ふぅぅ、無事行って来ました。到着するやSZK教官が飛んできて「Julianのあたりは大丈夫だった? シーリングは? タービュランスは?」と次々に聞いてきます。そうとう心配してくれていたようです(^^;)。SZK教官曰く「よく戻って来れたねぇ!」

到着後MRT教官とブリーフィングを行います。曰く「この気象条件の中、ちゃんとハザードを予見して迂回するなどの適切な判断と処置ができていたようで大変良いです」とのこと。めでたし、めでたし。

ところでこのクロスカントリー、全行程250nm以上あるんですが、これをkmに換算してみると、463km以上となり、下手をすると東京から大阪まで行くくらいの距離だったんですね。こんな距離を自分でしかも飛行機で移動したなんて不思議な気分です。また、途中にあるSalton Seaは海とはつながっていない塩湖なのですが、チャートや上空から見た感じではあんまり大きい感じがしないのに、なんと東京湾と同じくらいの大きさだそうです。いろんな意味でアメリカはでっかいなぁ。

というわけで本日の訓練は終了です。明日はGillespieにてソロでタワーとの交信をする予定です。

訓練後アパートに移動します。もう一人の訓練生(SDRさん。大学の教授らしい。既にPrivateを保持している)と同室です。部屋は個室です。教官とSDRさんと飯でも食いに行くことになり、メキシカンレストランに行きました。たらふく食ったのに、SDRさんが「ソロでクロスカントリー無事に行って来たお祝いだから」とまたしても私はごちそうされてしまいました。ありがたいことです。

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