2001/10/13(土)

IFRでVan Nuysへ

本日が最終訓練となります。本日はIFRでVan Nuys (VNY)へ行ってみます。VNYは「米国のGeneral aviation空港の中で最も忙しい空港」と言われています。朝9時過ぎにSkylineへ。

WXも特に問題ないようです。風向きからすると、R/W 16でILSアプローチができそうです。IFRのフライトプランをTELでファイルして、プリフライトします。燃料が入っていないのでChuck Hallのスタッフを探しますが見当たりません。はて? 燃料運搬用の大きい方のトラックがないので、今出払っているようです。

しばらく待つとトラックが帰って来ました。さっそく燃料補給をお願いして、出発です。

本日は朝から風が変な向きから吹いていて、R/W 9がアクティブになっています。ところが我々が出発する時のASOSによると、微風ながらR/W 27の方が良さそうです。R/W 27に向かおうとしたのですが、ラジオを聞くとまだR/W 9を使っているトラフィックがいるようなので、我々もR/W 9を使うことにします。我々とほぼ同じ時期に出発しようとしている人(Transientにいた人?)のラジオでも「風向きからするとR/W 27なんじゃないかなぁ? でも他のトラフィックもいることだし、我々もR/W 9を使うことにするよ」と言っています(^^;)。

R/W 9にタクシーして行くと、さっきラジオで聞いた人(セスナ)がTransientの方からタクシーして来るのが見えます。R/W 9にはランナップエリアが無いので、本当はタクシーウェイに出る前にランナップするのが良いのですが、そのセスナがまだ遠くにいるので、我々はR/W 9の手前でとっととランナップして出発することにします。

R/W 9に着陸するトラフィックをやり過ごし、R/W 9から出発! Left downwind departureでOCN 280°方面に向かいます。

Socal Approachにコンタクトすると、”Direct to OCN” です(^^)。フードをかぶってOCNに向かいます。本日はヘディングを保つことを特に意識してやったので、もうVORはドンピシャでトラッキングしています。ヘディングも北よりの風によるWCAを意識できています。283°でOKのようなので、これを中心にほんの1~2°の範囲で修正します。

OCN近くになって、Approachからヘディングをちょっとだけ南よりにするよう指示が出ます。さっきからラジオを聞いていると、我々とほぼ同じタイミングでOCNに向かっているトラフィックがいるようですので、それを避けるためでしょう。しばらくするとまたOCNに向かうよう指示され、”Resume own navigation” です。これで元通り。

OCNからはいつものごとくV23 (OCN 301°ラジアル)に乗って、北西に進みます。相変わらず次の周波数にハンドオフされる時に焦りますが(^^;)。

SLI上空で今度はLAX方面に誘導されます。予定通りです。このあたりを飛ぶのはもう3回目なので、さすがに「土地勘」が出てきました。

Approachから指示されるヘディングと高度に従ってLAX上空に向かいます。Approachから「VNYのATISを聞いているか? 聞いていないなら今聞け」と言われてあつかったりします。LAX上空からは「確かLAXの316°ラジアルだよな~」と思っていると、やっぱりそういう指示が来ます(^^)。

もうVNYは近いので、ILSアプローチの準備をします。VNYのタワー・グラウンドの周波数、ILSの周波数、DMEの周波数、マーカーのスイッチ、リファレンスにする別のVORの周波数とコースをセットしたりします。このあたりだいぶ慣れてきました。ちなみにILSは、周波数さえセットすれば、VORのようにコースをセットする必要はありません。しかし、計器を見た時に誤解するといけないので、コースもセットしておくのが良いそうです。なるほど。

Approachの指示に従い、次第に高度を落として行きます。VNY VORとDMEなどで現在位置を常に把握します。現在VNYの真西くらいを北上しています。トラフィックパターンで言うダウンウィンドを進んでいるようなものです(トラフィックパターンよりだいぶ大きいですが)。ヘディングを次第に東から南方面に向けさせられます。

ここでILSアプローチの許可が下りました。アプローチチャートに従って高度を落としつつ、ローカライザを捕まえに行きます。おっとっと、やっぱILSの計器に合わせるのはかなり微妙で、ちょっと気を抜くとすぐずれます(^^;)。

タワーにコンタクトします。”VNY Tower, CK8125Y with you, ILS inbound” うーん、いいっすねぇ。でもタワーが「ローカライザは164°だが、ずれている」と言ってきます。”CK8125Y, correcting” と言っておきます(^^;)。

グライドスロープよりもちょっと高めですが、慌てず少しずつ修正して行きます。ここで教官が「この機体の計器は誤差が大きいのかもしれない。ヘディング160°くらいで降りてみて」と言います。それに従って降りて行き、DAでフードを取ると、またしてもちょっと右にずれています。ははぁ、これで3回とも右にずれたってことは、やっぱ計器の方がずれているんですね。まぁ実際にIFRで飛ぶ時はこんな高度までR/W in sightできないことはないので、R/Wが見えた時点で目で見て修正すれば良いわけですが。

いつものようにフルフラップにしてエアスピード63ktsでタッチダウン。ここのR/Wは8000ftもあるので、我々の機体ではオーバースペックなくらいながーいです。

ここで教官がグラウンドにコンタクトして「Airtel Hotelのレストランに行きたいのだが、Airtel Hotel前のランプに止められるか?」と聞いています。グランドから許可が下りたので、Airtel Hotelのランプに向かいます。VNYには2つレストランがありますが、両方とも空港に隣接するAirtel Hotel内にあります。通常のTransientに止めるとちょっと歩かないとならないので、今回はAirtel Hotelのランプに止めさせてもらったわけです。

さてさっそくレストランに行きたいのですが、はて、このランプからどうやって外に出るんでしょう? 金網で仕切られたすぐ外がホテルの敷地なのですが、3つあるゲートはすべてカギがかかっています(;_;)。と、そのうちの1つの目の高さのあたりに赤い箱が取り付けられていることを発見します。それを開けてみると、ホテルへの直通TELがあるじゃありませんか。これで「今、飛行機で到着したのですが、どうやって中へ入るんでしょう?」と聞くと(教官が)、どうやらリモートコントロールでカギを開けてくれるらしいです。TELを切ると、ゲートのカギが「ギー、ジャキジャキジャキ!」という音と共に、いかにもロックが外れたような音がします。これでゲートを開けて中に入ることができました(^^)。

このホテルはリゾートホテルという感じで、プールまであります。家族連れなんかがプールでのんびりと過ごしています。アメリカって感じです。ホテルから見える滑走路では、ビジネスジェットとかでっかい双発のプロペラ機とかちっさい飛行機がガンガン離発着しています。アメリカって感じです(^^;)。

レストランのある建物に向い、Landings Restaurantに入ります。ここはかなりしゃれた感じで、あんまし「短パンとTシャツ」という格好だと入りづらい感じです。いわゆる「女の子受けするレストラン」です。教官も「あー、ちゃんとした格好をしてきて良かった」と言っています(^^;)。

ここで昼食をとって、帰ります。

VNYは専用のClearance Controlが設置されているので、ここにコンタクトしてRNMへのクリアランスを要求します。週末ということで、IFRトラフィックが少ないせいか、すぐにクリアランスが出ました。予想されるルートとほぼ同じでした(出発直後のルートだけちょっと違った)。

グランドにコンタクトしてタクシーを要求すると「Intersection departureのため17Fにタクシーせよ」と言われます。この17FってのはR/W 16Rの途中の出入り口となるタクシーウェイです。で、17Fに向かっていると「やっぱR/W 16Lをクロスして、R/W 16Rに向かえ」と言われます。教官曰く「あちゃー、こっちがIFRだってばれちゃったかな。IFRだと出発まで時間があるので、その間R/Wの端っこまでタクシーさせとけと思っているんでしょう。」Intersection departureの方がタクシーをダラダラしなくて良かったのですが、まぁ仕方ありません。

R/W 16Rの端っこでランナップします。タワーにコンタクトすると「出発まで3分(だったかな?)。Hold shortせよ」なので、じっと待ちます。

やっとCleared for take-offです。R/W 16Rから出発です。ここからはDeparture/Approachの指示に従って進んでいきます。一旦東方面に向かい、V364で南下して海岸沿い近くまで来ます。

ここでApproachから” Direct to OCN” と指示されます。いつもだったらここで “Join V23 to OCN” なのでV23 (SLIの20°ラジアル)に乗るのですが、今回は “Direct” なので現在位置から直接OCNに向かいます。そうですねぇ、SLI 130°ラジアルってところでしょうか。

OCN上空に来ました。ここからはヘディング110°と指示されます。これだとEscondidoの南側と通ってRNMに向かう感じでしょうか。Escondido上空あたりでいつものごとくヴィジュアルアプローチとなります。この時点でR/W in sightを報告して、IFRのフライトプランをキャンセルしておきます。

いつものようにMt. Woodsonに向かいます。と、ここで我々と同じ高度で同じ方向に飛んでいるセスナが見えます。だんだん近づいているようです。そのセスナもRNMに向かっているようで、RNMのCTAFで我々のことが見えていると言っています。なので、我々も “We have Cessna in sight”と か言っておきます(^^)。こっちがちょっとだけ後ろなので、360°旋回をしてセパレーションをとることにします。

あとはいつものようにRNMに到着です。あぁ、これで最終フライトが終わってしまいました。

今回はかなり計器飛行(と計器飛行方式)というものの手ごたえを感じました。教官にも「だいぶ感覚がつかめてきたようですね。あんな感じでOKです」と言われました(^^)。コースのずれが大きくならないうちに微妙に修正する感覚。計器と向かい合い、1°単位、10ft単位で精密に飛ぶ感覚。微動だに変化しないエアスピード。ど真ん中にあるVORのCDI。自分の感覚がどんどん研ぎ澄まされていくような不思議な感覚です。VFRで飛ぶ時にもこの感覚はきっと役に立つと思います。

IFRの訓練を受けてみての感想ですが、

  • 何でも「あらかじめあらかじめ」
  • 精密な操縦技術
  • ATCのコミュニケーション能力

が必要だと思います。自分が飛ぶルート・コースはもちろん、各種コントロールの周波数とかVORの周波数なんか覚えているくらいじゃないとだめだし、コントロールからの指示には瞬時に反応しないとだめです。

そのためには諸々慣熟することはもちろんですが、なんといっても「えっ、そんなに?」ってくらい精密に操縦することが必要になります。Private取ってVFRでクロカンに行くと、ともするとヘディングやVORのトラッキングなんかかなりずれてしまうことがあります(^^;)。IFRではこれはだめです。”Fly heading 280″と言われたら、本当にぴったり280°にするのです。大げさな話281°でも279°でもだめです。”Join V23″ と言われたら、本当にぴったりV23のラジアルに乗るのです。VORの針は微塵もずれてはいけません。そのくらい精密に飛ぶわけです。

そういった意味では、IFRで飛んでいる時はVFRで飛ぶのに比べて自由ではない分窮屈な部分もあります。しかし、他のIFR機、特にエアラインと同等の管理下で飛ぶというのはなんとも良いものです。ラジオから”United xxxx, Socal Approach, …” とか聞こえてきたり、”Socal Approach, United xxxx, …” という声の背景にジェットエンジンの音が「キーン」なんて聞こえたりして、「あー、自分も航空社会の一員なんだ」ということを実感させてくれます。これが本当にお客さんを乗せているのならそれはもっと何倍にも感じることだろうと思います(責任感とかプレッシャーも何倍でしょうが)。

というわけで、今回の渡米での訓練はおしまいです。


16時頃にアパートに戻って後片付けをしたりします。17時過ぎにルームメイトのHNDさんが帰ってきて「MRT教官が18時くらいにここに来るそうです」と言います。あ、これはひょっとして…

18時にMRT教官がやって来ました。で、「食事に行きましょう。どこに行きたいですか」というので、私は「やっぱダウンタウンの方ですよねぇ。そりゃHOOTERSで決まりでしょう(^^)。」

今回は前回行ったMission Valleyの方ではなく、本当にダウンタウンの中のHOOTERSに行くことになりました。CA-67を南下してI-8、I-125、CA-94でダウンタウン到着です。立体駐車場に車を止めて、そこから数分歩いた所にHOOTERSがあるそうです。

それにしても街はやけに賑やかです。週末のせいもありますが、Halloweenが近いということでいろんなイベントが行われているようです。お化け屋敷なんかもありました。酔っ払って陽気に騒いでいる人たちがたくさんいます。本当にこの国は今「戦争をしている」んでしょうか(^^;)。

HOOTERSの入り口ではたくさんの人が待っていて、ちょっと入るのに時間がかかってしまいましたが、相変わらず見事な造形美のウェイトレスの皆様に目を細めながら、最後の夜は更けていくのでした。

帰りに森田さんが「Coronado Bridgeって行ったことない?」と言って、Coronado Bridgeを案内してくれます。おぉ、これがいつも遠くから(もしくは上空から)見ていた橋かぁ。でかいし高いし長い橋です(^^)。

というわけで、Ramonaに23時過ぎくらいに戻ってきました。明日は4時起きなので、片付けの仕上げをしてとっとと寝ることにします。

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