2002/10/08(火)

Multi-Engine Rating訓練再開!

2001年の10月にMultiの訓練を開始したのですが、ノーズギアを「やっちまった」関係で訓練は一時中断していました。その間諸々状況が変わって、2002年の7月にInstrumentを取得、続く9月にはCommercialを取得しました。

この10月から1年ぶりにMultiの訓練再開となるわけですが、結果的には一番効率の良い順番で訓練することになったわけです。なにせここでMultiに合格すると、いっぺんにCommercial Pilot + Multi-Engine Rating + Instrument Ratingとなるわけですから。もちろん試験自体は、Private Multiに比べてCommercialの諸元で飛ぶこととアプローチが追加になりますが、試験ではこれらを同時に行うので、時間的にも費用的にも効率が良いわけです。

というわけで、10/7(月)に再びRamonaにやって来ました。本当はこの日から訓練を開始する予定だったのですが、成田発のKE001便が機体の整備の都合で2時間遅れになったこともあり、Ramona到着時にはもうヘトヘトで、次の日から訓練を開始することにしました(^^;)。

さぁ、本日から訓練開始です。訓練はお昼からですが、相変わらず大変良い天気で、もうチリチリと焼けた気がします。

今回はMRT教官にお世話になります。よろしくお願いします。

まずはプリフライトから。久しぶりのSenecaです。でかいです(^^;)。プリフライトは1年前にやっていますので特に指導を受けることはありません。でも久しぶりなせいか、初めての機体のような感じがします。本当にこの機体で1年前に飛んだんだろうか?

さて出発です。このフライトにはMTIさんも同乗します。MTIさんは最近Multiの訓練を開始したそうです。私にとっては久しぶりに同フェーズの訓練生ですので、お互いに乗り合うことにしました。

各種チェックもなんだか初めてのような感じがします。いくつかすっかり忘れている項目もあったので、あやしいものは1つずつ教官に確認しつつ行います。

左エンジン始動! おぉ、なんだか思ったよりスムーズに回っている気がします。さて、右エンジンも始動…あれっ? スタータが回らない。これは困ったなぁと何回かボタンを押し直すとようやく始動しました。あついです。

タクシーは思ったより重い感じがしません。1年前は「すごく重い」という感じだったのですが、その記憶が極端になっているのでしょうか。

R/W 27からRolling Take-offで出発! そういえばRolling Take-offって初めてな気がしますが、スロットルを入れると左右のエンジンの出力が完全に同じではないせいか、なんだか右に振られてちょっと焦ります。85mphでローテーション。No remaining R/Wでギアアップ。この辺りはArrowの経験が生きていてそんなに戸惑いません。

アップウィンドの400ft AGLくらいで上昇パワー(25″MP、2500rpm)にセットしますが、スロットルとプロップのレバーが2つずつなので、これらを同じくらい動かすっていう意識があるせいかArrowよりも時間がかかります。しかも私プロップのシンクロまでやろうとしていたので、余計に時間がかかります。そうこうするうちに500ft AGLになってしまうので、ライトクロスウィンドにターン。シンクロはターンしてからでも良いとのこと。なるほど。

上昇しつつ訓練空域に向かいます。相変わらずSenecaはとても力強いです。グングン上昇して行きます。挙動もゆったりしていて、いかにも「飛行機」って感じです(^^)。くー、たまんねー(^^;)。

4500ftでレベルにします。スロットル22″MP、プロップ2400rpm。そういえばSenecaはピッチセンシティブですね。1年前はそれが良くわからなかったのですが、今回はレベルにする時にその感触がわかりました。ラフにヨークをいじらないことを意識します。ちょうどInstrumentで飛ぶ時のような微妙な「圧」で操縦するとうまく行きますね。これも今までの経験が生きているのでしょう。

本日のフライトではマニューバを一通りやってみることにします。しかもアプローチも2回(ノーマルとシングルエンジン)やる予定です。

まずはSteep Turnから。スロットルを20″MPくらいにしてエアスピードを130mphにします。左側からエントリ。バンク30°くらいでスロットルを2″MPくらい足しつつバックプレッシャ。50°バンクを維持しながらターンします。ちょっと最初高度が落ちましたがそれを修正した後はバッチリです。最初のヘディングから30°手前くらいからロールアウト開始。バンク30°通過でスロットルを元に戻し、バックプレッシャも緩めます。おぉ、ばっちりじゃないですか(^^)。引き続き右側。これもほぼばっちりです。1年前はぜんぜん余裕がなかったのですが、これも経験でしょうか。

次にSlow Flight。スロットル15″MP、プロップ2500rpm。高度を維持しつつ、ギアダウン、フラップ10°、25°、40°。92mphを維持するようピッチを調整しつつスロットル20″MPくらい。後は微調整。リカバしましょう。プロップ(2500rpmになっていることを確認)、スロットル25″MP、フラップ25°、ギアアップ、フラップ10°、0°。これもほぼ問題なし。

次にPower-off Stall。Slow Flightと同じ要領でギアダウン、フルフラップ。95mphでピッチダウン。100ft降下したらスロットルをアイドルにしつつピッチアップ。ピッチアップを続け、ストールの兆候でリカバ。ピッチダウンと同時にプロップ確認、フルスロットル、フラップ25°、ゆっくりピッチアップしてPositive rate of climbでギアアップ、加速しつつフラップ10°、0°。Vy (105mph)上昇します。ちょっとストールの状態で粘りすぎましたが、手順はバッチリです。

次にPower-on Stall。Arrowではエアスピードを落とすのにギアダウンしましたが、これはどっちでも良いとのこと。今回はギアを出さないやり方でやることにします。そうすると積極的にエアスピードを落とすために、スロットルは最初から絞り気味にした方が良いとのこと。なるほど。ではそのやり方でやってみることにします。スロットル12″MP、プロップ2500rpm。高度を維持しつつエアスピードを落とします。90mphでスロットル21″MP。ピッチアップ。ストールの兆候でリカバ。ピッチダウンと同時にプロップ確認、フルスロットル、ゆっくりピッチアップしてVy上昇。これもまたストールの状態でちょっと粘り過ぎちゃいましたが、基本的にはOKです。

さて、ここでアプローチをやってみることにします。1回目はノーマルで、2回目はシングルエンジンでのアプローチです。2回目はフルストップします(SenecaではシングルエンジンのMissed approachはしないという前提から)。いきなりSenecaでアプローチなんかできるんかいな、という一抹の不安を抱きながら、とにかくやってみるしかない。

フードを被ってアプローチの準備をします。CRQのATIS聞いて各種周波数をセット。アプローチチャートをレビューして、さぁ行ってみるか。

Socal Approach (APP)にコンタクトしてIFRクリアランスを要求します。CRQで2回ILSアプローチすることをリクエストします。スコークをもらってレーダーコンタクト。あとはいつもの通りLOCを30°くらいでインターセプトするヘディングに持って行かれます。ここでAPPから「フルストップするのか?」というようなことを聞かれますので「1回目はMissed approachして2回目はフルストップする」ということを伝えますが、イマイチうまく伝わらなくてちょっとあついです(^^;)。

ESCONのちょい内側で”Maintain 3400 until established on the LOC, cleared for ILS Rwy 24 approach at CRQ”です。この指示はLOCに乗り始める直前くらいに出されたので、LOCをつかむのがちょっとビハインド(^^;)。GSに対してもまだ高めです。降下率を多めにしつつLOCに乗ります。ギアを出して…あ、Before landing checkもやらなきゃ(^^;)。

Senecaは今までのVOR/ILSレシーバではなく、HSIですのでちょっと戸惑います。でもHSIだけ見ていればヘディングとLOC/GSがわかるので、慣れればこっちの方が絶対便利ですね。

WCAは右に5°くらいでしょうか。そうすると、セットしてあるLOCのコースとヘディングが一致しませんので、LOCの針の角度が5°だけ垂直から左に傾きます。あ、これは意外だなぁ(^^;)。この状態でLOCに乗るのはちょっと慣れが必要です。なんとかLOCに乗って行くとすぐに慣れてきました。おぉ、なかなかいい感じです。

ところがGSの方はHSIの左端で小さい三角マークが上下に動くだけなので、むしろGSに乗る方が難しいです。横一直線に針があるのと無いのとでは直感的に感覚がだいぶ違います。

なんとかGSにも乗りつつアウターマーカ通過。一応タイマスタート。タワーにコンタクトすると”Cleared for low approach, after missed approach, fly heading 180, climb and maintain 3000″です。これもおなじみ。

Senecaは単発機より重いせいでしょうか、アプローチは安定しています。オーバーコントロールにならない分むしろ単発機より楽な気がします。その代わりずれが大きくなっちゃうとそれを修正する(ごまかす)のが難しくなります。

DAでR/W確認。ほぼアラインしています(^^)。Missed approach。タワーにMissed approachを伝え、Socal Departure (DEP)にコンタクト。

上昇しつつClimb checkをしますが、カウルフラップをオープンにするのが落ちたりします(^^;)。あとはいつものごとくAPPの指示に従い、ヘディング060°で4000ftまで上昇。

ここで教官が1つのエンジンを切ります。あ、うっ(^^;)。えーと、

  • Maintain directional control
  • Mixture — Rich
  • Prop — Forward
  • Throttle — Forward
  • Flaps — Up (確認)
  • Gear — Up (確認)
  • Boost pump — ON
  • Identify inoperative engine & verify

ここまで一応一気にやりましたが、ちょっと焦り気味です。

この後、止まっちゃったエンジンについてトラブルシュートもします。

  • Fuel selector — ON/X-FEED
  • Mixture — Rich (確認)
  • Boost pump ON (確認)
  • Magneto — LEFT/RIGHT/BOTH
  • Alternate air — Open
  • Gauges — CK (Fuel press/flow、Oil press/temp、Cylinder head temp etc)

エンジンが復活しないと想定してフェザーします。

  • Prop — Feathered
  • Mixture — Idle cut-off

これらは実際にレバーを動かしますが、すぐに教官が元に戻します。つまり本当にフェザーにはしないでシミュレートするわけです。

引き続いてセキュアします。

  • Boost pump — OFF
  • Magneto — OFF
  • Cowl flap — Close
  • Alternator — OFF
  • Fuel selector — OFF
  • Boost pump of operative engine — OFF

上記はやるふりだけします。

右エンジンがアウトになっているので、機体を滑らせないように左に5°バンクさせつつ左ラダーを当てます。ラダートリムも取ってしまいます。ところが、外を見ている時と違って、どのくらいラダーを当てれば良いのかちょっと戸惑っちゃいます。理屈の上ではバンクを固定した状態でヘディングが変わらない位置までラダーを当てれば良いはずです。このくらいかな? うん、なんとか安定しました。後で教官に確認したところまさにそれで良いとのこと(^^)。ところがここでラダートリムを取りすぎて逆にバンクを浅くしなくてはならなかったりして焦ります(^^;)。Senecaのラダートリムはちょっといじっただけでグンと変わるので注意が必要です。

そろそろLOCをインターセプトする方向に持って行かれるはずなので、この辺りでBefore landing checkをしておきますが、カウルフラップをCloseするのが落ちます(^^;)。

APPの指示に従ってヘディングを北に向けます。ところが右エンジンが死んでいるので、左ターンがしにくいです。ふと気が緩むといつのまにかバンクが元に戻ってレベルフライトしていたりします(^^;)。おぉ、いかんいかん。

APPからILSアプローチのクリアランスが出ました。ところがまたしてもこの指示が遅く、クリアランスをリードバックしているうちにLOCを過ぎちゃいました(^^;)。あうー(;_;)。気を取り直してゆっくりLOCに乗り直します。

今回はGSを大きく外すことなく降りて行きます。LOCもいいんじゃないでしょうか。タワーにコンタクトすると”Cleared to land R/W 24″です。

1回目もそうでしたが、DAの手前でプロップハイにします。この時GUMPチェックが抜けていました。いかんいかん(^^;)。忘れないようアウターマーカを過ぎたらGUMPチェックをするという手もあるようなので、次回はそうしてみたいと思います。

DAでR/W確認。ほぼアラインしてます(^^)。ここからエアスピードを落としつつ、フルフラップ。シングルエンジンなのでスロットルの調整をラフにしないようにジワリと調整しつつ、ゆーっくりとタッチダウン。おぉ、Senecaでの久しぶりの着陸がいきなりシングルエンジンでしたがうまく行っちゃいました(^^)。フレアが重いことを予め意識していたせいかそんなでもなく、うまく着陸できちゃいます。

タクシーウェイに出てグラウンドにコンタクトしてR/W 24にタクシーバックします。この時、After landing checkをタクシーしながらやったのですが、これは止まった状態で落ち着いてやれば良いとのこと。そうですよね(^^;)。

R/W 24で待機していると、他にも5機くらいが出発待ちしてます。さすが忙しい空港だけあります。私、こういう光景ってなんだか好きなんですよね。

ビジネスジェットに引き続き、我がSenecaの番です。うーん、エアラインのよう(^^)。

Right downwind departureでCRQを後にします。この時、上昇時のエアスピードがフラフラしちゃいました。反省反省。

RNMに帰りつつ、Vmc Demoを行います。えーと、スロットル15″MP、プロップ2500rpm、エアスピード115mphになったら左エンジンアイドル、右エンジンフルスロットル。おっとっとDirectional controlに気をつけないと(^^;)。この状態から少しずつピッチアップ。1秒に1mphずつエアスピードが落ちるようにするのですが、どうも速くなってしまいます。

ピッチアップと同時に右ラダーも徐々に踏み込んで行きます。ここで注意ですが、今まではVmcは「シミュレート」で良かったので、エアスピード95mphでラダーの踏み込みを止めて「Vmcになった」と想定していたのですが、今はPTS (※)が変わって、本当にVmcまで落とします。つまりラダーは「踏み切る」わけです。

(※PTS: Practical Test Standards)

お、お、こんな感じかな? ラダーがいっぱいになりました。エアスピードがVmc (80mph)を切っています。するとDirectional controlを失ってスコーンを左に傾き始めます。すかさず右スロットルアイドル、ピッチダウン、エアスピードVmc以上で右スロットルフル、Vyse (105mph)にします。

これがですね、久しぶりなもんだからイマイチでした(^^;)。ピッチアップしつつ右ラダーを踏むのですが、「傾いちゃいけない」という心理が働き、バンクも右に当てちゃうんですよ。それをやるとVmcに達した時の「スコーン」が遅れちゃうんですよね(^^;)。バンクは右5°に固定ですっ!

また、リカバの時ピッチダウンしますが、どうもエアスピードがVmc以上になる前に右スロットルを入れちゃいます。以前はこんなタイミングで良かった気がするのですが、今は本当にVmcを切っていますので、ちゃんとVmcになってからじゃないとリカバがうまく行きません。

というわけで、Vmc Demoを何回か練習しつつRNMに戻ります。

いつものようにMt. Woodsonに向かいつつBefore landing checkをして、もうギアダウンしておきます。これは自分の判断でやっていますが、教官曰く「エアスピードを落とすなど、ちゃんと理由があってそのタイミングでギアを出しているのであればそれで構いません」とのこと。Arrowの時もこういうタイミングでギアを出していたので、これで統一しておきたいと思います。

ダウンウィンドを速く飛び過ぎないよう、スロットルを20″MPくらいにしてみます。まぁまぁかな。アビームでスロットル15″MP、フラップ10°、110mphくらいで降下。ベースでフラップ25°、105mphくらい。ファイナルターンをビハインドしないよう早めに回って、フラップ40°、95mph。ここら辺はまぁうまく行きました。

GUMPチェックをしてショートファイナル。スレッショルド通過でゆっくりフレア開始。スロットルを徐々に絞って行きます。どうだ、こんな感じかな? キュパッ! おぉ、全く振動なしでタッチダウン(^^)。Normal landingしたわけですが、ピッチに意識を集中したせいか、そんなに重い感じがしませんでした。でもその後ブレーキを急激にかけ過ぎました(^^;)。反省反省。

ブリーフィングでは「アップウィンドではまずエアスピードを優先するようにしましょう。プロップのシンクロなどは後でもOKです。Climb checkもゆっくりで良いです。Slow Flight、Stallsはよく出来ています。Steep Turnはロールインする時に高度を落とさないようにしましょう。一旦スタビライズした後はとても良いです。エンジンフェイリャーはIdentify & verifyまではOKです。トラブルシュートはゆっくりで良いです。エアスピードやヘディングをチェックしながら確実に行うようにしましょう。フェザーの後のセキュアもゆっくりやって構いません。アプローチは基本的にはOKです。LOCにあのくらい乗れていれば問題ないです。今回GSに乗るのにちょっとビハインドしました。降下率を大きくして積極的に乗って良いです。Vmc Demoはピッチアップをもっとゆっくり、リカバ時は確実にVmc以上になってからというのを意識するようにしましょう。全般的に一通りできていますが、各種操作をもっとスムーズに行うようにしましょう。あと慌てないで確実にやるようにしましょう」を頂きました。

とにかくですね、Senecaを操縦するのは1年ぶりですから、ほとんど感触が残ってなくて、はっきり言って初めて乗ったのと変わりないです。正直本当にうまく乗れるのか不安でしかたなかったです(^^;)。「初めてではない」というプレッシャもありましたし、こっちに来るまで全く何も準備できていなかったので尚更です。

でもマニューバの手順など、前日に一気にイメージトレーニングしたのが生きたのか、なんとか一通りこなせちゃいました。というかですね、今までの経験がとても生きていると感じました。Instrumentしかり、Commercialしかり。こういう経験がなかったら、きっとこんなには操縦できなかったと思います。

今回はともかく「絶対にビハインドしない」ことを目標にやったので、逆に各種操作を速くやり過ぎな部分もあったようです。「もっとゆっくりやって良い」と言われるくらいでした(^^;)。自分の中ではとにかくビハインドしないことを最初の目標にしていたので、今回はこれで良しとします。次回からはこれに余裕を加えてスムーズにやることを目標にしたいと思います。

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