2000/03/26(日)

最終訓練

低気圧の接近(?)にともない、土曜日は強風が予想されるため、日曜日の訓練となりました。今回でひとまず最終訓練となります。

朝7時ちょい過ぎにおなじみ同行カメラマンと一緒に自宅を出発しました。やはり日曜日は道が空いていて気持ちが良いです。ほとんど渋滞などにははまらず10時には大利根飛行場に到着です。

飛行場に着くと、何やら小学生3人とその付き添いのおっちゃん1人が見かけたことがない低翼機(たぶん富士重工のFA-200)のまわりではしゃいでいます。子供達は皆カメラを持っています。その低翼機のパイロットらしき人が付き添いのおっちゃんに何やら説明しています。

立ち聞きした限り、下総基地の近くの小学校の上空を飛ぶとか何とか。その小学校のグラウンドにはその子供達の親御さん達が待ち構えているとか何とか。たぶん遊覧飛行かなんかでしょう。

おっちゃんを残していよいよその低翼機が出発します。穏やかな日曜の飛行場にエンジン音が響きます。子供達のわくわく感が伝わってくるようです。「飛行機っていいぞぉ。たっぷり楽しんで来いヨ。そしてパイロットになりたいなんて1人でも思ってくれたら、俺は幸せだぜ。」(←何者なんだよオマエ)などとほほえましく思いながら眺めていました。ところが…。

あれっ? あの飛行機、チョークアウトしてないぞ。「あ、きっと今からパイロットがチェックリストに従ってチョークアウトするんだよなぁ。うん、きっとそうだよ。」などと思っていると、なんとエンジンをふかしてタクシーしようとしています。3回くらいトライしたところでパイロットが気付いたらしく、外にいる付き添いのおっちゃんに何やら話しかけています。おっちゃんはうなづいて、チョークをはずしています。わわわ、危ない! お、おっちゃんプロペラに気を付けて! おいおい、パイロットの人も素人にやらしちゃまずいだろ(^^;)。ちゃんと自分で確認しなきゃ。ヒヤヒヤして見ていると無事チョークアウト完了です。

その後無事タクシーしてR/W 25から離陸して行きました。が、このときパイロットはテイクオフコールをしていません(^^;)。まぁ他にトラフィックがなかったので良いのかも知れませんが。ほんとはちゃんとコールしないとだめですよねぇ。

さて、今回はG/Sなしで、いきなり午前中から1フライト目を行います。午後から別の訓練生(横浜のライセンス保持者。お名前なんでしたっけ? 仮にAさん)のフライトがありますので、2フライト目はその後となります。Aさんの訓練に同乗させてもらえるとのことでとても楽しみです。

1フライト目

飛行前チェックはもうスムーズです。でもエンジンオイルを確認するための蓋を閉じ忘れたりしていけません。飛行機は1日の終わりには燃料を満タンにしておくこと(タンク内の結露による水分の混入を防ぐため)などを新たに学びました。

機内に乗り込むと教官が「何かお忘れではありませんか?」と言います。えーと、あれっ? 点検はしたし、あれとこれと…いいんだよなぁ。いや別に忘れているようなことは…あ! チョークアウトじでな゛い゛…(爆)。全然人のこと言えないのでした(;_;)。

さて気を取り直して、各種点検を行います。ラジオチェックをしようと大利根フライトサービスを呼び出しましたが返事がありません。うーん、今誰もいないようなので、他の点検に移ります。

と、ここで本当はフライトサービスはちゃんと応答してくれていたようです。同行カメラマンはレシーバで130.7MHzを聞いていましたので両者の送信は聞いていたとのこと。うーん、機内の無線機のボリュームが小さかったのか? でも上空ではちゃんと他の人のコールが聞こえていたし…? 無線機の受信側の調子が悪かったのかもしれません。

そんなこととはつゆしらず、タクシー開始です。もうかなり慣れてきて、ちゃんとセンターに合わせてタクシーできます。いい感じ! ターニングパッドでの小回りもOKです(^o^)。

エンジンランナップを完了して、R/W 25から離陸します。前回の離陸のうまくいかなさを反省し、今度こそうまく離陸しようとイメージを思い浮かべつつ、息を整えます。滑走路の延長に目標をとり、ふー、よし、行きます。フルスロットル! 足っ! 足っ! でセンターに合わせ、対気速度計をちらっちらっと確認し、Vr、ローテーション、ここで右ラダーをあて、目標からずれないように修正します。ピッチに気をつけて、対気速度75ノットで上昇。

おぉ、今度はうまく行きました。この離陸は同行カメラマンに滑走路の延長上で押さえてもらっていましたので後で確認したところ、エアボーン後、少し左に機首が降られたものの、ほぼまっすぐに上昇していきます。またしても貴重な映像がとれました。

上空では今までの水平直線飛行、旋回、上昇/降下旋回の復習を行います。またスローフライトでの上昇/降下旋回の復習も行います。これがスムーズに行えることが離着陸時の機体コントロールを安定させるのでしょう。ラダーをちゃんと使うことができました。まだ完全とはいかないかもしれませんが、いい感じです。

次にランディングストールの回復手順です。今回は教官がデモンストレーションを行い、私はまずは姿勢を覚えることに集中です。着陸姿勢で緩やかに降下し、上空に仮想的に滑走路を想定してピッチを上げていきます。「ヒョー」という風切り音の後ストールワーニングが鳴り響きます。ここでピッチダウン、マックスパワー、対気速度が上がってきたらピッチを戻し、今度はVx上昇を行います。この上昇は通常の上昇よりも更にピッチが上がっていて、前方には水平線が見えなくなります。左右の視界で水平線の位置を確認することになります。

さてそろそろ飛行場に戻ります。今回はTGLを行います。うーん、楽しみです。栄橋上空でフライトサービスから着陸情報をもらいます。

Otone Flight Service, JA4149, 栄橋上空, request landing information.

日本語と英語が混ざったオペレーションになってしまいました(^^;)。いつものごとく飛行場の南側から340度のコース、高度1300ftで飛行場の上空を通過します。

Otone local, JA4149, over the field, 1300, R/W 25, touch and go.

ダウンウィンドの入口では、よーく他のトラフィックを確認します。

Otone local, JA4149, entering downwind, R/W 25, touch and go.

交話法の本によると、

Otone local, JA4149, on entry, R/W 25, touch and go.

という言い方もあるようです。ダウンウィンドに入ると、前方のグライダーとセパレーションをとる必要がありそうです。360度旋回をして、再びダウンウィンドに入り直します。

ミクスチャリッチ、キャブヒートホット、スロットル1800rpm、高度を維持しながらベースターンして対気速度を落とします。フラップ10ダウン、20ダウン、対気速度70ノット。ファイナルターンの時点で高度500ftになるように降下して行きます。

ファイナルターン、主にラダーで曲がる感じで、おぉ、ほぼ滑走路の延長です。ミクスチャリッチ、キャブヒートコールド、フラップ30ダウン、対気速度65ノット。ちょっとふらふらしますが、何とかラダーをメインに左右を調整します。今回は教官の補助のもと、自分でスロットルによる降下率の調整も行います。うーん、なかなか微妙です。

スレッショルド通過、スロットルオフ、フレアを機体の沈み込みとともにかけて…キュパっ! とタッチダウン。おぉ、教官の補助付とはいえ、自分でフレアをかけるあの感覚! たまりませんの。

と、感慨にふけっている間はありません。タッチアンドゴーなんです! 足っ! 足っ! 足っ! でセンターに合わせ、フラップアーップ、マックスパワー、 足っ! 足っ! あわわ、左右に振れちゃう、Vr、ローテーション!

後でビデオを見ると、なかなかスムーズに行っているように見えますが、操縦席はそりゃもう大慌て! まったく余裕がありません。しかもビデオで改めて確認すると、エアボーンしたのがもう滑走路の末端に近いところです。あぁ、もう! 次回は絶対うまくやるぞと心に誓ったのでした。

場周経路を回って、2回目はフルストップです。足っ! 足っ! で調整する感覚がだいぶ分かってきました。フレアは結構一生懸命バックプレッシャをかける必要があります。ピッチが下がってしまうと前輪やプロペラを損傷してしまうことがあるとのこと。気を付けねば。

タクシーバックして駐機場に飛行機を止めます。もうだいぶ止める「ポイント」が分かってきました。これくらいで…これでどうだ! 前後左右とも10cm以内で止めることができました(たぶん)。

ところで今回の撮影では、レシーバで130.7を受信しながらその音声とともに撮影してもらいました。これはなかなか良いですね。自分の声がどう聞こえているのか、客観的にわかりますね。

Aさんの訓練に同乗

ランチの後、Aさんの訓練に同乗させてもらいます。考えてみれば、セスナの後部座席に乗るのは初めてです。おぉ、こういう感じなのかぁ。確かに操縦席からよりは視界が狭いです。

他の人の操作や訓練風景を観察するということは、本当に参考になります。離着陸時などは自分も一緒になってイメージトレーニングできました。

Aさんの訓練は、フードを付けての計器飛行訓練(VORのトラッキング?)と、unusualな姿勢からの計器による回復でした。後者の訓練では、まず訓練生に目をつぶらせ、教官が急旋回や上昇/降下をしばらく繰り返し、どういう姿勢になっているかわからなくします。この時の機体の挙動がすごい! あんなにギュワンギュワン姿勢を変えることができるとは。相変わらず急旋回の時の「意識がいっちゃいそう」な感覚がたまりません(^^;)。ピッチを上げてストール状態になった所でAさんが目を開け、計器だけ見て回復させます。こりゃすごい!

その後はTGLです。といってもノーマルなものではなく、ファイナルターン時の高度が700ftくらいの高い位置から、フォワードスリップ(でしたっけ?)によって高度を落として着陸します。この時の機体の姿勢がみょ~な不思議な感じがします(^^;)。これをひたすら4回くらい繰り返してフルストップです。

このTGLを観察することは、場周経路を飛行する手順のとても良い勉強になります。次回はTGLがもう少し余裕をもってできそうな気がしてきます。

2フライト目

と思いきや、ここで天候が悪化してきました。雲も出てきて北西の風がますます強くなってきました。あろうことか、時々雨もぱらつき始めました(;_;)。うーん、これでは訓練飛行できるかどうか微妙なところ。16:00まで様子を見ることになりました。

16:00、やはり天候は回復する見込みはありません。というわけで残念ながら2フライト目は行わないことにしました。飛行には問題がない程度の風だそうですが、訓練が効果的に行えないことが予想されるためです。こういう決断も時に必要ですね。正に我々は大自然の中に生かされているのですね。


というわけで、予定していた訓練はこれでひとまず終了です。といってもGWの渡米に先立ち、もう1度は飛んでおこうと思っています。その時にはTGLをばっちり決めたいですね。そうやって温めておいて、一気にアメリカでの訓練に臨むと。

今度はアメリカでの訓練レポートが書ければ良いと思っています。乞うご期待!

謝辞

何もかも初めての経験で戸惑うことも多々ありましたが、非常に充実した訓練でした。この初期訓練をADC教官の柔軟かつ的確なご指導により行えたことは本当に良かったと思います。ありがとうございました。またこれからもよろしくお願いします。

また温かい応援をして下さったNRKさんやカメラマンもして頂いたTKDさんに感謝申し上げます。

あと、毎週毎週訓練に付き合ってもらった同行カメラマンにも感謝です。

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